開発の危機に晒されている世界最大の洞窟、ベトナムのソンドン洞をめぐるドキュメンタリー。ソンドン洞は、そのスケールの大きさと景観の美しさで、発見されると瞬く間に世界中に知られるものとなった。洞窟の入口までフォンニャの町から2日半を要する奥地にあり、貧困なジャングル暮らしを送っていた若者たちは、ポーターの職を得た。町では旅行者を見込んだホテル建設が進む。大自然がつくり上げた奇跡の空間を、政府や観光産業が放っておくはずはない。ついには洞窟内にロープウェイ建設の話が浮上した。一度は国民の反対を受けて計画が頓挫したが、環境団体は「今も水面下で動きがある」と警戒する。経済活動と自然環境保護、世界中の観光地が抱える問題の縮図ともいえる作品だ。
公開年月日:2023-05-26